葛西水再生センターの太陽光発電設備の太陽光パネルは追尾式

葛西水再生センターは追尾式の太陽光パネル

2010年04月15日(木)

東京新聞サイトの4月14日記事「太陽とくるり 都の下水施設に「追尾型」発電設備」から。

東京都は、太陽の向きに合わせてパネルが回転する新型の太陽光発電設備を下水処理施設「葛西水再生センター」(江戸川区)に設置し、今月から稼働させた。「一軸追尾」と呼ばれる仕組みで、固定型に比べて発電効率を向上できるのが特長だ。大規模な実用化は全国初という。

都下水道局によると、パネルは追尾型が二千二百六十八枚、固定型を合わせ計三千八百三十六枚。一年間で、一般家庭百六十世帯の年間電力使用量に相当する五十九万キロワットを生み、センターを運営する電力の一部に充てる。(C)東京新聞

江戸川区の葛西水再生センターの太陽光発電システムが稼動した、というニュースだ。この太陽光発電設備の一部は、太陽の位置に合わせて太陽光パネルの向きを変える追尾式だ。太陽光パネル3836枚中2268枚が追尾式というから、約6割の太陽光パネルが追尾式だ。

この追尾式は「一軸追尾」という追尾方式。二軸あればパネルはすべての方向を向くことができるが、一軸とのことなので、太陽の高度に合わせて向きを変える方式だ。内部のコントローラソフトは、設置場所の緯度経度と日時から太陽高度を計算し、それに合わせてパネルの向きを最適な向きに動かしている、と予想できる。

このニュースは東京都のサイトにもあった。葛西水再生センターのページによれば、この太陽光発電システムの出力は490キロワット。ということは、引用した東京新聞の記事は誤りだ。引用記事中、"五十九万キロワット"ではなく"五十九万キロワット時"と、単位が違っている。

3836枚の太陽光パネルで出力490キロワットということは、太陽光パネル1枚当たりの出力は割り算すると約0.13キロワットとなる。サイズにもよるが通常の太陽光パネル1枚の出力が約0.2キロワットであることを考えると、能力は低い。これは、東京都のニュースページによれば、この太陽光発電パネルが"従来の多結晶型に比べシリコンが100分の1に削減できる「薄膜太陽電池」"を使用していることによる。シリコン薄膜型太陽電池は、シリコン使用量が少ないため価格は安いが能力は落ちる。

なお東京都の最初のページによれば、このセンターにはNaS(ナトリウム・硫黄)電池による蓄電システムが備えられている。2400キロワットの出力を7時間持続できる性能とのことなので、これは大規模な蓄電システムだ。

最後に、この太陽光発電システムはどのメーカーの物かが気になる。ネットで調べたところ、かなり古い記事だが日経サイトの2008年5月20日記事「シャープと都下水道局,新型太陽電池システムの実証実験を開始」を見つけた。タイトルのとおり、このシステムはシャープが作ったものだった。このシステムは、シャープと東京と下水道局が共同で実証実験を行っていたのだ。シリコン結晶型太陽電池がメインのシャープが薄膜型太陽電池、ということが面白い。もちろんシャープはいまは積極的に薄膜型の生産を始めているが、2008年の当時はそうではなかったはずだ。この薄膜型太陽電池は、タンデム構造の薄膜シリコン型太陽電池、とのことだ。また追尾式にすることで、年間出力が1割程度増える、ということもこの記事からわかった。追尾式にすることで1割の出力増ということは、追尾式にすることがコスト的にメリットがあるのか、難しいところだろう。


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