市民が出資して還元を受ける太陽光発電所

市民が出資する太陽光発電所

2011年06月09日(木)

市民が出資して太陽光発電設備を設置、という話題は結構聞くが、その売電益を出資した市民に還元となると、あまり聞かない。そのような事例はこのブログの2010年2月1日記事「市民による太陽光発電の設置」で話題にした。その話題は滋賀県東近江市だ。そのブログ記事と重複するが、同一の話題が朝日新聞サイトの6月6日記事「住民出資、共同発電所に脚光」に掲載されていた。その記事によれば、その太陽光発電所の概要は次のとおりだ。

東日本大震災で大規模停電を招いた原発事故を受け、住民が出資する「市民共同発電所」が注目を集めている。地域に根ざした「小規模・分散型」の太陽光発電システムで、収益を住民に還元して運営する。東近江市では2カ所で稼働中。NPO関係者は東近江モデルを県内に広げる構想を提案している。

【「小規模・分散」太陽光発電/東近江2カ所】

東近江市八日市緑町の農産物直売所「八日市やさい村」。その屋根に太陽光パネルを設けた市民共同発電所1号機(出力約6キロワット)が稼働を始めたのは2004年だ。1口5万円で57口の出資があった。さらに10年、同市八日市上之町の「FMひがしおうみ」に2号機(同4・4キロワット)が設けられ、1口10万円で29口が集まった。(C)朝日新聞

太陽光発電所は2箇所あり、外観は1号機のとおりだ。

1号機は出力6キロワットで、1口5万円で57口の出資があった。稼動は2004年とかなり前だ。2号機は出力4.4キロワットで、1口10万円で29口の出資だった。

この「東近江モデル」は売電益を出資者に還元するが、その内容は上記新聞記事によれば次のとおりだ。

2カ所合わせて約3世帯を賄える量だが、関西電力に買い取ってもらい、収益は出資者に地域商品券で還元される。10年度は、1号機は1口あたり3000円、2号機は同8000円の相当分が還元された。

「地域経済を活性化させる狙い」と、市民共同発電所の設置にかかわったNPO法人「菜の花プロジェクトネットワーク」(近江八幡市)の山田実事務局長は話す。(C)朝日新聞

還元は現金ではなく、地域商品券ということが大きな特徴だ。昨年度は、1号機は1口(5万円)当たり3000円、2号機は1口(10万円)当たり8000円相当とのことだ。地域商品券ということで、このプロジェクトは地域振興と気が付く。出資者としては、出資することで環境に貢献し、利益還元を受け、地域経済の振興まで協力する、ということで出資に見合う、またはそれ以上の満足が得られるという仕組みだ。だからこそこのモデルを「東近江モデル」として全国に広めようとしているようだ。

このグループの将来構想は次のとおりだ。

こうした活動を踏まえ、山田事務局長やNPO法人「市民ソーラー・宮崎」(宮崎県国富町)の中川修治・副理事長らが、県内の小中高約400校にそれぞれに出力50キロワットの太陽光パネルを載せ、防災拠点も兼ねた市民共同発電所を設置する構想をまとめた。

発電能力は2万キロワット。通信大手ソフトバンクが打ち出した大規模太陽光発電所(メガソーラー)の構想で1カ所ごとに想定されている出力に相当する。中川副理事長は「大規模な送電線が要らない」などと東近江モデルのコスト面の利点を強調する。それでも、各校ごとの設備設置に約4千万円かかり、市民の出資をどう募るかなど課題は少なくない。

東近江モデルの拡大構想の提案を受けた嘉田由紀子知事は、県として前向きに検討中のメガソーラーと共存させることも念頭に、「NPOが事業化するための仕組みづくりやノウハウなどで協力したい」と話した。(C)朝日新聞

この計画は壮大だ。滋賀県内の約400ある小中高学校にそれぞれ出力50キロワットの太陽光発電設備をこのモデルで設置しよう、という計画だ。出力は合計2万キロワット、つまり20メガワットだ。この出力は合計ではあるが大変な規模だ。これが1箇所にあればメガソーラーとしても大規模なものだ。それを、市民が出資する東近江モデルで作ろうというのだから、これは大変だ。これだけ大規模な太陽光発電設備を市民の出資だけで作ったら、世界に誇れる市民の財産となる。成功は、原子力発電は要らないという市民からの強いメッセージにもなるだろう。県も協力を約束しているという追い風もあるので、成功を強く願う。


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