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有機太陽電池の外壁材

2012年01月19日(木)

前回の当ブログの記事「紫キャベツ色素の色素増感型太陽電池」はまだ現時点では珍しい色素増感型太陽電池の話題だった。今日も珍しい太陽電池の一つの有機太陽電池についての話題だ。少々前だが1月2日の読売新聞サイトの1月2日記事「外壁使い太陽光発電 パネル不要、低コスト 三菱ケミカル」から。

三菱ケミカルホールディングスは、太陽光で発電する新型の外壁材を2013年中に発売する。屋根などに設置場所が限られるパネル型と異なり、日当たりがよいマンションなどの壁面として使える。再生可能エネルギーの普及に弾みがつきそうだ。

超高層ビルの壁に使えば、1、2棟程度でも大型の太陽光発電所(メガソーラー)並みの発電能力を得られるという。

新たに開発したのは、現在使われているシリコン半導体の代わりに、石油などから作る有機物の半導体を使う有機太陽電池で、現在のパネル型太陽電池より薄くて軽い。光のエネルギーを電力に変換する効率も約11%で、実用化できる水準に達している。発電能力は1平方メートルあたり80ワット程度で、現在使われている一般的なパネル型(変換効率14~15%)の6~7割程度の発電ができる。

有機太陽電池は重いガラスの基板を使う現在の太陽電池より製造も容易で、生産コストはパネル型の10分の1程度に抑えることもできるという。高層ビルやマンションなどのほか、倉庫や駐車場など、大きなパネル型が置けない小さな屋根としても利用できるほか、地震などの揺れにも強い。将来は電気自動車(EV)のボディーやカーテンなどにも使う計画だ。
...(C)読売新聞

ビルの壁に貼り付けて太陽光発電を行う外壁材が来年2013年に発売される。外壁材として使用するには軽くて薄い太陽電池でなければならない。その目的に適している太陽電池の一つが、有機太陽電池だ。

広義の有機太陽電池には前回話題の色素増感太陽電池も含まれるが、今日話題のものは有機薄膜太陽電池と言われるものだ。この太陽電池については、今回の製造元となる三菱ケミカルホールディングスのサイト有機太陽電池に詳しい。それによると、今回の有機太陽電池は、フィルム基板の上に有機半導体を塗料のように塗布するため、従来タイプの太陽電池に比べ重さは1/10以下と非常に軽く、簡単に曲げられる、という大きな特徴がある。

通常の太陽光パネルはガラス基板を使用するため重い。しかし今日話題の有機太陽電池はフィルム基板で非常に軽いので、通常の太陽電池は重すぎて載せられない屋根にも搭載できるという大きな利点がある。また有機半導体を塗布するだけなので、印刷技術を応用して製造コストを大幅に下げることができる。

また変換効率は11%と、このタイプとしてはかなり高い数値だ。多結晶シリコン型太陽電池の変換効率は20%弱なので、かなり良い線を行っていることになる。

そのような有機太陽電池の外壁材を来年発売する、ということだ。そのイメージ図を見れば、あらゆる壁にこの外壁材を貼り付けて壁面で太陽光発電する概念が理解できる。引用記事によれば、超高層ビルの外壁材にこれを使用すれば、1・2棟でメガソーラー並みの発電量となるというから、その能力の高さには驚かされる。

紫キャベツ色素の色素増感型太陽電池

2012年01月17日(火)

西日本新聞サイトの1月12日記事「紫キャベツで太陽光発電 九工大のグループが開発」から一部を引用する。

九州工業大学大学院情報工学研究院(福岡県飯塚市)の古川昌司教授の研究グループは、紫キャベツに含まれる天然の色素を使った太陽光電池の開発に成功した。植物の光合成の働きを発電に利用する研究で、低コストで環境にも優しい。...

古川教授によると、実用化されている太陽光電池はシリコンを素材としているが、価格が高騰し入手が難しくなっているという。そこでグループは5年前から、次世代型の太陽光電池として、野菜などに含まれる天然の色素を使った「色素増感型太陽電池」の開発に取り組んできた。

色素増感型太陽電池では、光エネルギーを電気エネルギーに変換する「変換効率」の高さが重要になってくる。グループはコーヒーやパプリカ、ホウレンソウ、ハイビスカスなど約30種の色素で実験し発電効率を調べたところ、紫キャベツが最も高い数値を示した。

最新の研究では、太陽光を100とした場合の変換効率を1・85まで高めることに成功。他の野菜などは0・1-0・2にとどまるため、古川教授は「紫キャベツには、他の植物に比べてアントシアニン色素が多く含まれることが、発電効率を高めている」と分析している。
...
変換効率が30%のシリコンや、色素増感型の研究で最高値11%の希少金属ルテニウムに比べ、植物素材ははるかに低いが、古川教授は「変換効率を5%まで高めれば、太陽光を多く吸収できる、広い国土を持つ発展途上国で実用化が期待できる。コストもかからず、野菜から色素を取り出せば残ったものは食べることもでき、究極のエコエネルギーになる」と話している。(C)西日本新聞

色素増感型太陽電池というタイプの太陽電池がある。これは未来技術のひとつで、色素による太陽電池だ。その色素に、野菜の色素を使う研究の話題だ。

九州工業大学大学院の研究グループは野菜の色素による太陽電池を研究している。同グループは約30種類の野菜を研究したところ、紫キャベツの色素が最も高い発電能力があった。紫キャベツ多く含まれるアントシアニン色素が発電能力に寄与しているらしい。

この色素増感型太陽電池は、なにせ変換効率が悪い。商用レベルの一般のシリコン単結晶型太陽電池では20%台なのに比べ、この紫キャベツ太陽電池は2%弱だ。それでも、他の野菜の色素よりはずっと高い。

このタイプの太陽電池は、色素を使うのでシリコンよりは圧倒的に安いこと、薄くて曲げられること、色素によりカラフルな太陽電池が可能になること、など利点は多い。だがなんといっても問題は効率だ。同研究グループの教授によれば、変換効率が5%まで高めることができれば実用化が期待できるレベル、とのことだ。

変換効率が低いということは、より広い太陽電池の設置面積が必要になる、ということだ。引用記事にもあるが、発展途上国がターゲットになるかもしれない。

太陽光パネルと蓄電池のポータブル電源

2011年06月24日(金)

今日も数回前の記事に引き続き、太陽光パネルの付いた電源装置の話題だ。読売新聞サイトの6月17日記事「ポータブルソーラー発電機 太陽光で12時間充電、3時間使用可」から一部を引用する。

ismは、6月15日、米ユニバーサルパワーグループ(UPG)のポータブルソーラー発電機「ecotricity ECO1800S」を、同社のオンラインショップ「Life ism(ライフイズム)」で発売した。価格は26万400円。

折りたたみ式のソーラーパネルと1800W蓄電池のセット。車輪付きで、持ち運ぶことができる。ソーラーパネルを蓄電池に接続すると、太陽光を電気に変換して蓄電池に充電する。家庭用電源での充電も可能。過充電防止機能を備えているので、常時電源につないでおき、停電時の予備電源として利用することもできる。

充電時間は、太陽光なら12時間、家庭用電源なら18時間。バッテリによる稼働時間は、電話とPC、モニタ、モデム、扇風機を同時利用した場合で3時間。蓄電池には、120Vコンセントを5口、12VのDC端子を1口、15mコードを備える。

サイズは、ソーラーパネルが幅622.3×高さ1086.0×奥行き300.0mm、重さは15.0kg。蓄電池は幅489.0×高さ286.0×奥行き210.0mm、重さは27.2kg。(C)読売新聞

折りたたみ式のソーラーパネルと蓄電池のセットで、車輪が付いているため持ち運び可、という製品だ。画像のとおり。米国のメーカーの製品。価格は26万400円とのことなので、太陽光パネルの付いたポータブル電源装置としては普通の価格か。

充電は太陽光パネルからだけでなく、家庭用電源からも可能で、通常は電源につないでおける。その充電時間だが、記事では「太陽光なら12時間、家庭用電源なら18時間」とあるが、本当だろうか?太陽光パネルからの充電のほうが家庭用電源による充電より短い、というのは少々信じられない。巨大な太陽光パネルなら別だが、この製品の太陽光パネルのサイズは622.3mm×1086.0mmとのことなので、面積は約0.68平方メートルだ。一般的な太陽光パネルは面積1.5平方メートルで出力は約0.2キロワットなので、この製品の面積では出力約0.09キロワット、つまり約90ワットだ。90ワットの太陽光パネルで充電時間12時間はありえないだろう。まあ、通常は家庭用電源から充電しておき、停電時に太陽光パネルから補助的に充電、という使い方と思われる。

それからこの引用記事には、蓄電池の能力が"1800W"とあるが、これも意味不明。"1800W時"、ならわかるが。

この製品のホームページによれば、この製品は米国仕様なので出力は120ボルトだが、100ボルトへの変圧器は付属する、とのことだ。またこのホームページでは、充電時間は「太陽光16時間、AC電源18時間」とある。太陽光からの充電時間は上記引用記事よりは増えているが、一般電源からの充電時間よりは短い。このismという代理店は製品の仕様をよく理解せずに販売しているのではないだろうか、と危惧される。

東芝が太陽光システムを無償提供

2011年04月01日(金)

このたびの東日本大震災の支援に大企業も乗り出している。今日は東芝の支援の話題だ。読売新聞サイトの3月31日記事「仮設住宅に太陽光発電、東芝が無償提供」から。

東芝グループは2011年3月30日、東北地方太平洋沖地震の被災者の仮設住宅と復興住宅向けに、太陽光発電システムと省エネ型家電機器100世帯分を無償で提供する、と発表した。

住宅用太陽光発電システムや蓄電池システムと、液晶テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、炊飯器、LED 照明などの省エネ家電機器を組み合わせることで、今後想定される電力需要逼迫時でも、最適なエネルギー管理ができるという。

東芝グループは今後、被災地での行政の仮設住宅、復興住宅の具体的な計画に合わせ、太陽光発電システムを提供し、省エネ家電機器は、行政からの要請に基づき、さらなる提供を検討していく。

東芝グループは、今回の被災者の仮設住宅と復興住宅向けに、太陽光発電システムなど100世帯分を無償で提供する、とのことだ。太陽光発電システムの他に、省エネ型家電機器も提供するとのこと。具体的には、液晶テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、炊飯器、LED 照明の省エネ型家電だ。これは大変太っ腹だ。仮に、太陽光システム1式が約200万円、省エネ型家電が約100万円とすると1世帯当たり約300万円、これを100世帯分なので、合計約3億円、ということになる。

もちろんこれはすばらしいことなのだが、ひねくれ者の私としては勘ぐりたくなることがある。東芝といえば、日本で有数の原子力発電メーカーなのだ。今回の福島原発にも東芝が関与している原子炉は3,4つあるはずだ。今回の原子炉のマイナスイメージが自社に波及しないよう、早めに無料提供の名乗りを上げたのか、とも思ってしまう。

ジャイロで効率アップした波力発電

2010年01月09日(土)

今日は太陽光発電とは関係の無い話題。日本は四方を海に囲まれている。この海洋の力を使ったエコな発電には、主なものが2つある。一つ目の潮力発電は潮位差を利用した発電で、出力がギガワットクラスの巨大な発電所が可能だ。二つ目は波力発電で、波の寄せては返す力を利用した発電だ。今日の話題はこの波力発電。産経新聞系のSankeiBizサイトの1月4日記事「波力発電の新方式開発 高い効率性、耐久性実現」から一部を引用する。

環境面で注目される波力発電で従来弱点となっていた効率性を高め、低コストで高い耐久性を保持する新しいシステムを、神吉(かんき)博・神戸大名誉教授(機械力学)らが開発。実用化に向け、最終試験を進めている。ジャイロ(コマ)を使って波による揺れを直接回転運動に変換する技術を採用。製品化を目指す神戸大発のベンチャー企業「ジャイロダイナミクス」(神戸市中央区)は、今年から国内外で販売を開始する計画を立てている。
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日本全国の海岸に打ち寄せる波のエネルギーは総計で原発数十基分と推定され、神吉さんは「これほどのエネルギーを使わないのはもったいない」と、平成12年ごろから波力発電の研究を進めてきた。

従来の波力発電は、波の運動を空気の移動に変換し、タービン(回転動力の原動機)を回して発電する方式が主流だった。しかし、この方式ではエネルギーの変換回数が多く、タービンの回転ロスもあって効率の悪さにつながっていた。

神吉さんはもともとジャイロを使った宇宙ステーションの制御などの研究が専門で、波力をジャイロで回転運動に換え、発電機を回す方式を発案した。鳥取大と共同研究を進め、16年には鳥取市の港湾に最大出力5・5キロワットの試験機を設置。実験の結果、発電効率はタービン方式の2倍以上になることが確認された。

ジャイロ方式は機械が海水や外気と接触しないため耐久性にも優れており、実験では海上に4カ月間設置しても損傷はなかった。

現在は和歌山県すさみ町沖の太平洋で最大出力45キロワットの発電機(縦9メートル、横15メートル)を浮かべ、今年2月までの予定で実験を行っている。
...(C)SankeiBiz

既存の波力発電は効率が悪かった。Wikipediaによれば、波力発電の原理は「没水部の一部が開放された空気室を水中に設置し、ここから入射した波で空気室内の水面が上下し、上部の空気口に設置した空気タービンが往復空気流で回転する。」

引用新聞記事のとおり、既存の波力発電は波の力をいったん空気の運動に変えてからタービンを回して回転運動に変える、という原理のため非常に効率が悪い。今回、神戸大名誉教授の神吉氏が開発した波力発電は、ジャイロを使って波の力を直接回転運動に変える仕組みなので効率が良い。

鳥取市の港湾にテスト機を設置して実験したところ、この新システムは従来のタービン方式の2倍以上の効率であることが確認されたそうだ。これは大変な効率アップだ。そして神吉氏によれば、日本全国の海岸に打ち寄せる波のエネルギーは総計で原発数十基分と推定されるそうなので、効率アップした波力発電機があれば太陽光発電や風力発電よりも安く安定した発電が可能になるはずだ。

またこの新方式は、機械の内部が海水や外気に接触しないため耐久性も優れている。

現在は和歌山県沖に出力45キロワットの発電機を設置し実験中。この発電機のサイズは9m×15m、ということは、このサイズの太陽光発電ではとても45キロワットには及ばない。出力45キロワットは太陽光発電なら一般家庭10~15軒分に相当する出力なのだ。

風力発電には致命的欠点があった。鳥との衝突、バードストライクだ。この新方式の波力発電は、ジャイロが密封されているので"フィッシュストライク"はほとんど発生しないだろう。

効率よく安定したエコな波力発電、今後着目されて良い優れた発電だ。


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