2012年1月 | 燦燦太陽光発電.エコ

2012年1月

集光型太陽光発電システムの実証実験

2012年01月01日(日)

12月31日付の山陽新聞サイト記事「岡山・京山の太陽光発電1年 日米共同プロジェクト着々」から。岡山市の話題だ。

岡山市・京山で、産業技術総合研究所(産総研、本部・東京)などによる集光型太陽光発電システムの実証実験がスタートし、1日で1年を迎える。

米国の比較施設と合わせ、年間データを蓄積。高効率太陽電池の開発・普及を目指す日米共同プロジェクトが着々と進んでいる。

京山では今年、太陽光電力を利用した両備ホールディングス(両備HD、岡山市)の植物工場も完成。2012年は「晴れの国・岡山」で環境、エネルギー、食料問題など世界的課題の克服に向けた挑戦がさらに加速しそうだ。(C)山陽新聞

この記事、冗長な大新聞記事とは異なり、コンパクトによく情報をまとめた記事と思う。

さてこれは、岡山市の産業技術総合研究所による集光型太陽光発電システムの実証実験が今日でちょうど1年になる、という記事だ。

この実験、実に興味深い。その集光型太陽光発電システムは写真のとおりだ。この写真からは厳密な角度はわからないが、太陽光の集光装置は垂直に立っているように見える。

そこでこの実験設備について、産業技術総合研究所ホームページを調べた。それによれば、この特徴は次のとおりだ。

  1. レンズにより太陽光を500倍以上の強度に強める。
  2. 小面積で超高効率の多接合型太陽電池で発電するため効率が良い。
  3. 太陽を追尾する装置も付属している。
  4. この岡山の同一システムを、快晴率が高く乾燥した米国コロラド州にも設置し、気候の違いが発電性能に及ぼす影響を比較調査する。

この多接合型太陽電池とは、複数の種類の太陽電池を積み重ねたものだ。利用できる波長の範囲が異なる太陽電池を組み合わせることで、広いスペクトルの太陽光が利用できるようになり、結果として発電効率が高まる。今回は、発電効率が通常の約倍の28%の太陽光モジュールを使用している、とのことだ。

実証実験の期間は最長5年とのことなので、まだまだ続く実験のようだ。

なお上記引用記事によれば、その実験施設のある場所に、太陽光発電による植物工場も完成した、とのことだ。その概要は植物工場 やさい蔵ホームページにある。これは、”野菜生産に関する様々な課題解決に取り組むための「研究施設」と日産800株(レタス)可能な「生産拠点」という二面性を共存した植物人工栽培研究施設”とのことだ。次の植物が生産可能だ。

1. 30種類以上の野菜の生産が可能だが、京山ではおもに「バジル、ルッコラ、イタリアンパセリ等の香草類」、「トマト、ナス、イチゴ等の果菜類」などの栽培を行っていく予定。

2. 栄養素を強化した機能性野菜の生産
ビタミンC含有量の多い「ほうれん草」、鉄分を増やした「空心菜」、カルシウムを強化した「小松菜」の栽培を行う予定。

3. サラダ用の苦みの少ない「クレソン」をはじめ、栄養価は維持したまま野菜特有の「えぐみ」や「青臭さ」を除去した野菜の生産。

全然種類の異なる施設が共存しているところが面白い。

八戸市のメガソーラーが完成

2012年01月05日(木)

このブログの昨年4月2日記事「八戸市のメガソーラー発電所が着工」で、東北電力が八戸市のメガソーラー建設に着工したニュースを書いた。今日の話題はそのメガソーラーが完成したという話題だ。

朝日新聞サイトの昨年12月20日付の時事通信社記事「メガソーラー運転開始=東北電で初、青森・八戸市で」から一部を引用する。

東北電力は20日、同社初のメガソーラーとなる八戸太陽光発電所(青森県八戸市)の営業運転を開始した。最大出力は1500キロワットで、年間発電量は一般家庭約500世帯の使用量に相当する約160万キロワット時を見込む。

東北電の八戸火力発電所内に建設され、約5万平方メートルの敷地に太陽電池パネル約1万枚を設置した。稼働率を12%と仮定した場合の試算では、既存電源に比べ年間約800トンの二酸化炭素を削減できるという。(C)時事通信社

この八戸市のメガソーラーは12月20日に営業運転を開始した。出力は、当初の予定と変わらず、1500キロワット、つまり1.5メガワットだ。昨年4月の前記記事では、この出力を"大規模"と書いたが、それkら9ヶ月経った今ではそれほど大出力とは感じない。東京電力の扇島のメガソーラーなど、さらに大規模な太陽光発電所が完成しているからだろう。

この八戸の太陽光発電所の年間発電量は約160万キロワット時、とのことだ。出力は1500キロワットだから、通常はそれから予想される年間発電量は約150万キロワット時となる。その予想より10万キロワット時だけ多いのは、八戸市は日照時間が多く太陽光発電に適した場所だからだ。このブログでも以前書いたが、八戸市の日照時間は東京より多いのだ。

今後、全国でメガソーラーがどんどん完成することだろう。

熊本県のメガソーラー

2012年01月10日(火)

今日は熊本県の話題。熊本日日新聞のくまにちコム サイトの1月8日記事「南関町にメガソーラー 北九州市の企業が計画」から一部を引用する。

住宅関連設備などの芝浦グループホールディングス(芝浦HD、北九州市)は7日、南関町に出力3300キロワットの大規模太陽光発電所(メガソーラー)を建設、6月にも稼働させる計画を明らかにした。

リクシル有明ソーラーパワー(長洲町、出力3750キロワット)に次ぎ、県内最大規模のメガソーラーになる。
...
計画では、ホテルセキア(南関町)を運営するサイカンホールディングス(東京)が所有する駐車場跡地など約6万平方メートルを活用。芝浦HDのグループ企業が手掛ける太陽光パネル(1枚当たり出力300ワット)を1万1千枚敷設する。総事業費は約10億円で、2月にも着工する予定。

リクシルの太陽光発電は自社工場向けが主な用途だが、芝浦HDは九州電力に売電する計画。7月の再生エネ特別措置法の施行を見据えて建設を決めた。グループ内でメガソーラーの施工などを手掛けることで、コストを抑えられるという。
...(C)熊本日日新聞

熊本県で最も大きなメガソーラーは、長洲町のリクシル有明ソーラーパワーで、出力は3750キロワットだ。今日のニュースは、それに次ぐ、というかほとんど同規模の出力3300キロワットのメガソーラー建設の話題だ。

建設場所は南関町で、芝浦グループホールディングスという会社が建設する。太陽光パネルは1枚当たりの出力が0.3キロワットと、高出力のものを1万1千枚使用する。合計出力は 0.3キロワット×1万1千枚 = 3300キロワットとなり、上記引用記事の数字は正しい。

1枚当たりの出力が0.3キロワットの太陽光パネルとのことなので、三洋電機の太陽光パネルだろう。これほど高出力の太陽光パネルは他にあるだろうか。ただ、太陽光パネルの面積が大きければ出力は高くなるので、他メーカーかもしれない。

このメガソーラーの建設目的は純粋にビジネスのようだ。最大規模のリクシルのそれは自社工場向けの発電だが、今日話題のものは電力会社に売電の予定とのことだ。

建設費用は10億円。出力は3300キロワットなので、1キロワット当たりの建設単価は約30万円となる。スケールメリットがあるにしても、この単価はこの1年で非常に下落したことに驚かされる。

太陽追尾型の太陽光発電装置

2012年01月12日(木)

神戸新聞サイトの1月12日記事「太陽光追尾しながら発電 電気工事店が開発 たつの」から一部を引用する。

兵庫県たつの市新宮町觜崎の電気工事店「志水電気」が、太陽の動きに合わせてパネルの向きが変わる太陽光追尾型発電設備「ひまわり」を開発した。社長の志水秀作さん(62)が、電気工事のノウハウを応用して設計。費用は通常の約1・5倍だが、発電量も約1・5倍になるという。特許出願中で、「脱原発の時代、効率的な太陽光発電で社会貢献したい」と話す。

志水さんの本業は工場などの配線工事。福島第1原発事故後、電力不足になったことをきっかけに、初めての装置開発を思い立った。電気工事の技術を応用して設計図を書き、取引先の鉄工所と相談して専用の歯車も作った。メーカー製のパネルに、市販のモーターを組み合わせるなどして完成させた。

高さ約3メートルの円柱の上に、太陽に向かって20度傾いたパネル(縦4・1メートル、横4・8メートル)が載る。1時間半ごとに、円柱の軸が水平方向に回転し、太陽の動きを追う仕組みだ。12月上旬に近くの水田に設置したところ、屋根の発電機に比べて1・2倍の発電量だったことが確認できた。志水さんは「夏場なら1・5倍になる。設置すれば、土地の有効活用にもつながる」としている。
...(C)神戸新聞

太陽追尾型の太陽光発電装置を、町の電気工事店が開発した、という話題だ。場所は兵庫県たつの市。たつの市は古い町並みが美しく静かな町だ。関東地方在住の私と家族は、地震または放射能で引っ越さざるを得ないときの引越し先候補のNo.1がこの市だ。

さてこの太陽追尾型の太陽光発電装置の外観の一番手前の装置を見ると、太陽光パネル9枚(3枚×3列)が1本の柱の上に設置され、全体が太陽の方向に動くという装置のようだ。

この柱の高さは3メートルで、太陽光パネルは通常の設置角度である20度に設置されている。記事によれば、1時間半ごとにパネルが柱を軸に回転し太陽の方向を追う仕組みだ。

12月にテストしたところ、発電量は通常の1.2倍とのこと。太陽追尾はそれほど発電量が増えないのが定説だが、12月で2割増はたいしたものだ。夏場なら発電量は1.5倍になる予測、とのことだ。

この引用記事からは、パネルを動かす電源や、太陽の方向を追うロジックは不明だ。ただ一般的には、パネルを動かす電源は、太陽光発電した電力を蓄電池に蓄えた電力を使用しているのだろう。また太陽の方向を追う仕組みは、太陽の方向を見つけるセンサーがあるのではなく、季節ごとの角度が内部ソフトウェアに組み込まれているのだろう、と想像する。

価格は通常の太陽光発電装置の1.5倍になってしまうそうだが、価格はともかく、このような複雑な装置を町の電気屋さんが開発したことに拍手!!!。

紫キャベツ色素の色素増感型太陽電池

2012年01月17日(火)

西日本新聞サイトの1月12日記事「紫キャベツで太陽光発電 九工大のグループが開発」から一部を引用する。

九州工業大学大学院情報工学研究院(福岡県飯塚市)の古川昌司教授の研究グループは、紫キャベツに含まれる天然の色素を使った太陽光電池の開発に成功した。植物の光合成の働きを発電に利用する研究で、低コストで環境にも優しい。...

古川教授によると、実用化されている太陽光電池はシリコンを素材としているが、価格が高騰し入手が難しくなっているという。そこでグループは5年前から、次世代型の太陽光電池として、野菜などに含まれる天然の色素を使った「色素増感型太陽電池」の開発に取り組んできた。

色素増感型太陽電池では、光エネルギーを電気エネルギーに変換する「変換効率」の高さが重要になってくる。グループはコーヒーやパプリカ、ホウレンソウ、ハイビスカスなど約30種の色素で実験し発電効率を調べたところ、紫キャベツが最も高い数値を示した。

最新の研究では、太陽光を100とした場合の変換効率を1・85まで高めることに成功。他の野菜などは0・1-0・2にとどまるため、古川教授は「紫キャベツには、他の植物に比べてアントシアニン色素が多く含まれることが、発電効率を高めている」と分析している。
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変換効率が30%のシリコンや、色素増感型の研究で最高値11%の希少金属ルテニウムに比べ、植物素材ははるかに低いが、古川教授は「変換効率を5%まで高めれば、太陽光を多く吸収できる、広い国土を持つ発展途上国で実用化が期待できる。コストもかからず、野菜から色素を取り出せば残ったものは食べることもでき、究極のエコエネルギーになる」と話している。(C)西日本新聞

色素増感型太陽電池というタイプの太陽電池がある。これは未来技術のひとつで、色素による太陽電池だ。その色素に、野菜の色素を使う研究の話題だ。

九州工業大学大学院の研究グループは野菜の色素による太陽電池を研究している。同グループは約30種類の野菜を研究したところ、紫キャベツの色素が最も高い発電能力があった。紫キャベツ多く含まれるアントシアニン色素が発電能力に寄与しているらしい。

この色素増感型太陽電池は、なにせ変換効率が悪い。商用レベルの一般のシリコン単結晶型太陽電池では20%台なのに比べ、この紫キャベツ太陽電池は2%弱だ。それでも、他の野菜の色素よりはずっと高い。

このタイプの太陽電池は、色素を使うのでシリコンよりは圧倒的に安いこと、薄くて曲げられること、色素によりカラフルな太陽電池が可能になること、など利点は多い。だがなんといっても問題は効率だ。同研究グループの教授によれば、変換効率が5%まで高めることができれば実用化が期待できるレベル、とのことだ。

変換効率が低いということは、より広い太陽電池の設置面積が必要になる、ということだ。引用記事にもあるが、発展途上国がターゲットになるかもしれない。


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